―――今の仕事、大学院の内容を教えてください。
(インタビュワー:佐々ゼミ3年生Aさん)
大学院に通いながら、「長岡市地域おこし協力隊」を兼任しています。そのため10万円弱の金銭的支援を長岡市から受けながら学んでいます。
大学院での専攻はイノベーションデザイン。大学院のゼミでは、デザイン思考とは何か、デザイン思考をどのように活用していくかを研究しています。佐々ゼミで学んでいたことがそのまま役に立っています。同期の子はデザインもデザイン思考も知らない状況で相当困っていたので、初めの2、3ケ月は教えてあげました。
講義は、造形大ですがデッサンなどよりも座学が多いです。先生が毎週変わるオムニバスの授業が多いのも特徴です。レーザープリンター、3Dプリンターを使ったり、プロトタイプを作ったりする授業もあります。大学院は学部よりも難しく、根拠や理論をしっかり追求しないと、ふらふら、なあなあ、といった雰囲気ではとてもやっていけないと思います。
地域おこし協力隊での活動は大学院での研究と結びつけています。
日本酒に抵抗がある若者が日本酒を飲むきっかけを提案したいという気持ちから、関東学院時代の卒業研究の延長で「日本酒と若者をどう結びつけるか」をテーマに研究しています。卒業研究ではアンケートを取るなど俯瞰的だったものを、今は地域の酒蔵に行って話を聞いたり、長岡市の20〜30代の人に日本酒についての意識調査を行ったり、フィールドワークを行って実際にコトを起こしたりしています。
また、大学院の中だけではなく、長岡の街に出て活動していく「いのプロ」(イノベーター育成プログラム)を今年度から始めました。情報収集をし、地域の人とつながり、視察をして分析を行います。そして分析を進め、分かったことを地域に還元するというサイクルを回しています。市街地のシェアハウスの一室をリノベーションし、活動の拠点としています。
修士論文や「地域おこし協力隊」への参加、地域の人との交流など、毎日休む暇がなくて大変です。けれど地域の人と関わる中で勉強になることが沢山あります。酒蔵の人と仲良くなれ、ネットワークはさらに広がりました。もちろん気持ちの波もあり、悔しいと思い凹むこともあります。でも関東学院を卒業したころの自分と今の自分を比べると、明らかに強くなっていると思います。
―――今の大学院に決めるまで、どんな就職活動をされていたのですか?
正直、就職活動はうまくいかず、就職試験に落ちまくっていました。ただ絶対に譲れなかったのは、やみくもにトライするのではなく、働きたい会社だけを受けることでした。卒業間近の3月になって、佐々先生の導きにより長岡造形大学の大学院を受験することになりました。過去には卒業前に進路が決まっていないゼミ生はいなかったので、その第1号になるかと思い精神的にはプレッシャーでした。
長岡造形大学大学院では、論文、面接試験を受けました。論文は、学部時代に自分が研究したことをベースにしながら、現代の問題について根拠づけて論文を書きました。それはめちゃくちゃ難しかったです。面接では3対1(面接官が3人)だったので、正直びびりました。
―――大学ではどんな活動をしていましたか?
佐々ゼミではゼミ長としてリーダーシップを発揮して活動していたつもりです。しかし、佐々先生からは「君のリーダーシップ力は入学前からあったよね。ゼミ、大学ではどんなことを身につけたの?」というきつい言葉をもらったことを今でも忘れられません。現在まさにそのリベンジができているのではないかと思います。
ゼミ以外では、様々なデザイン活動を行うデザインクラブの部長として力を注ぎ、大学生活の後半では、後輩をどう育てるかを主に考えていました。デザインのこと、デザイン技術面を後輩に伝える・残すことに力を入れていました。
―――なぜ、佐々ゼミに入ったのですか?
1年生のときの教養ゼミナールが佐々教授が担当だったことと、佐々教授の授業を受けてすぐに「私のやりたいことはこれだな」とピンと来たからです。
デザイン学科に入ろうと思った理由は、アートではなく誰かのためのデザインを学びたいと思ったのと、ニーズや課題を調査して、自己満足ではなく本当に市場に求められているデザインをしたかったからです。そのための考える力をつけたかったのが、根本にあります。それらをデザインの幅の広い佐々教授の下なら学べると思い志望しました。大学院に進んで、実際に定性調査やデザイン思考を使う機会が多く、ゼミでやっていてよかったと思うことが多いです。それだけに、佐々ゼミでは大学院で教えることをも学ぼうとしているのだなと思っています。
―――最後に、後輩に伝えることがあればお願いします!
勉強も大事だけど、遊ぶことや先生との関係を作ることがすごく大事だと、関東学院の外に出て実感しました。色んなことを言い合える仲間や先生とのかけがえのない時間を大事にしながら、がむしゃらにやりたいことを見つけて進んでいってほしいと思います。がむしゃらに進めば、佐々教授は受けとめてくれると思います。
(インタビュワーのAさんに対して)A子、卒業したら長岡造形大の大学院に来ない?あなたの活躍できる場があるよ、ここには。