障がい者・就職活動の支援に関する研究

研究の背景は?

障がい者雇用促進法により、企業は常時雇用している労働者数の一定の割合(法定雇用率)以上の障がい者を雇用することが義務付けられています。この数値は改正の度に率が増加していますが、法定雇用率を達成している企業は全体の約50%しかないといわれています。その1つの要因として、障がい者に対する就職支援の環境が整っていないことがあると考えました。

研究の仮説と目的は?

背景に基づき、仮説を「関東学院の障がいのある学生に向け就職活動情報のウェブサイトを制作すれば、情報不足によるハンディキャップが少なくなる」と設定しました。
研究の目的は、2つあります。1つは、関東学院の障がい者が就職活動を行う際に、便利なツールや媒体を構築すること。もう1つは、障がい学生の就職活動における不安を軽減できる方法を模索、研究することです。

研究のプロセスは?

既往研究の調査
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障がいのある学生の就職活動の現状調査
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障がい者・就職活動支援サイトの構築と検証
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障がいのある学生向け就活ガイド(紙媒体)の制作
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研究のまとめ

現状はどうだった?

筆者自身、見た目にはわからない軽度の障がいがあるので、就職活動では健常者向けの支援サービスと障がい者向け支援サービスの両方を体験し、双方の違いを分析することができました。そして筆者の体験や就職活動中の障がいをもつ学生へのインタビューを実施分析し、KJ法でまとめました(図5-1)。まとめたKJマップでは、「学内にある情報は整理されていなかったり、量、正確さに課題がある」「障がいのある学生に対する企業の意識は変化して来ているものの企業間の温度差、企業と障害を持つ学生間の意識の違いがある」「現実世界での情報交換は有効である」などが挙げられました。

障がい者・就職活動支援サイトとは?

先のKJ法から導き出された課題を解消するためには、就職活動を体験した先輩からの体験談を得ることが有効であると考えました。それを容易にするため、先輩の体験談を掲載するウェブサイトを構築しました。また学生同士の意見交換欄も設けました。

構築したウェブサイトを、就職支援センター職員の方、就職活動を経験した障がいを持つ学生に見てもらいました。ヒアリング及び検証を行った結果、実用化はかなり難しいと判明しました。主な理由は2つあります。1つは障がいの種類によっては、サイトの入力すらままならない場合があること、もう1つは、個人情報の問題から、就職支援センターのスタッフすら、障がいを持つ学生の全体像を把握できないことでした。
以上を踏まえ、研究方向を大きく変更し、過去の事例を基にした「障がいのある学生向け就活ガイド(紙媒体)」を制作することにしました。

障がいのある学生向け就活ガイド(紙媒体)とは?

紙媒体であれば、入力が困難な学生の存在や、個人情報に関する課題をある程度解消することができると考えました。就活ガイドの構成は就職活動の手順に沿って説明をするものとし、それぞれの動きについて先輩からのアドバイスを掲載しました。学生が就職活動の流れを把握できれば不安は軽減されると考え、このような構成としました。

研究のまとめと今後の課題は?

今回の研究は、「障がい者の就職支援」というユニークな視点のものでしたが、課題があったことも事実です。まず大きな課題は、研究の順序としてウェブ制作の前に就職支援センターへのヒアリングを行なうべきだったという点です。 ただ、就職支援センターの方へのヒアリングを通じて、障がい者が感じていることを大学側に伝えるきっかけにはなりました。
関東学院では障がいのある学生が少なく、情報も少ないのが現状です。しかし、情報を必要としている学生がいる限りは、分かりやすい情報をできる限り開示していく必要があります。就職活動にとどまらず卒業後も考慮したサポート体制が今後は必要だと考えます。

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